決意

13/16
前へ
/85ページ
次へ
 アパートのチャイムが何度も鳴り、ドアがガチャリと開いた。 「柚葉! ってあんたは誰だ⁉︎」 「あー、こんばんはぁ、私、柚葉の友達のリサって言いますぅ。」  セクシーなネグリジェをまとい、頭にタオルを巻いたリサさんがうふっと笑いながら挨拶する。   「柚葉はどこだ!」 「ええーっとぉ、どちらさまですかぁ?」 「柚葉の父親だ!」 「柚葉ならいませんよぉ、一昨日から留守の間、私が住まわせてもらっているんですぅ。」 「中に入れろっ。」 「ええー、そんな、私しかいない部屋に入れるわけないじゃないですかぁ。」 「柚葉はどこに行った⁉︎」 「さあ?」  リサさんが首を傾げる。   「あの娘、散々堕落した生活をしておきながら今度は駆け落ちだと?  とにかく、あんたはこの部屋から出て行ってくれ。俺は保証人なんだ。この部屋にいることは許さん。」 「こんな暗い中に追い出すんですかぁ? ひどぉい!」  リサさんが大きな声でそう言った後、さめざめと泣き出した。 「くそっ、明日でいい。明日出て行ってくれ。」  後ろから母の声が聞こえた。 「お父さん、警察に行きましょう。捜索願いを…。」
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加