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アパートのチャイムが何度も鳴り、ドアがガチャリと開いた。
「柚葉! ってあんたは誰だ⁉︎」
「あー、こんばんはぁ、私、柚葉の友達のリサって言いますぅ。」
セクシーなネグリジェをまとい、頭にタオルを巻いたリサさんがうふっと笑いながら挨拶する。
「柚葉はどこだ!」
「ええーっとぉ、どちらさまですかぁ?」
「柚葉の父親だ!」
「柚葉ならいませんよぉ、一昨日から留守の間、私が住まわせてもらっているんですぅ。」
「中に入れろっ。」
「ええー、そんな、私しかいない部屋に入れるわけないじゃないですかぁ。」
「柚葉はどこに行った⁉︎」
「さあ?」
リサさんが首を傾げる。
「あの娘、散々堕落した生活をしておきながら今度は駆け落ちだと?
とにかく、あんたはこの部屋から出て行ってくれ。俺は保証人なんだ。この部屋にいることは許さん。」
「こんな暗い中に追い出すんですかぁ? ひどぉい!」
リサさんが大きな声でそう言った後、さめざめと泣き出した。
「くそっ、明日でいい。明日出て行ってくれ。」
後ろから母の声が聞こえた。
「お父さん、警察に行きましょう。捜索願いを…。」
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