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両親が出て行った後、私と浩輝は笑いを噛み殺しながらロフトから顔を出した。
「リサさん、ノリノリじゃん。」
「うっさいわね。」
「柚葉のお父さん、冷静さを失って細かいところには突っ込まなかったな。
柚葉、大丈夫か?」
「うん、心が痛まないと言ったら嘘になるけど。散々心配かけているのは確かだし。」
たくさんの心配をかけたことは申し訳なく思う。だけど、それで決心が揺らぐこともない。
リサさんが頭のタオルをほどきながら言った。
「とりあえず、私たちの拠点に避難しましょ。」
「拠点?」
浩輝が頷いた。
「うん、仕事もこのまま行かない方がいいだろう。」
色々と心残りはあるが、荷物をまとめて深夜にアパートを出た。
いつの間に連絡したのか、アパートの前に車が止まっていた。
「ごめんな。」
浩輝が移動する車の中でぼそっとつぶやいた。
「やっぱり、柚葉が犠牲にするものも大きいよな。」
「…親の思い通りに生きるのが私の人生でもないし。こういう形でしか幸せが掴めないと確信してるから仕方ないよ。」
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