決意

15/16
前へ
/85ページ
次へ
 拠点は都心にある高層マンションの一室だった。モデルルームのような、なにもかもが洗練された広い1LDKの部屋。 「一室じゃないわよ、このフロア全部よ。何人いると思ってんの。」 「ええっ?」 「とりあえず浩輝とあんたはこの部屋を使って。私は隣の部屋にいるから。」  リサさんがふんっと踵を返して部屋を出て行った後、浩輝が私をぎゅっと抱きしめた。 「疲れただろ。風呂に入って早く休もう。食事は上のラウンジからデリバリーを取ろう。」  浩輝はいったい…?  驚いている私の顔を見てふっと吹き出した。 「別にやばいことないよ。ちゃんとした仕事をして、これが当たり前のことだから。バスタブにお湯を入れようね。』  父から捜索願いが出されていると思われるので、葵だけには連絡して私は1週間その拠点から出ずに過ごした。
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加