15人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
「でもしょうがないよね、早くしないとお見合いさせられるんだし、浩輝くんは会わせられないし。」
葵がうんうんと一人で納得している。
「誰も知らないところで二人で生きて行くっていいと思う!
私は応援する!」
「おい葵、酒でも飲んだか?」
「飲んでないっ!」
呆れたような顔で葵を見ていた健人くんが、浩輝の方に向き直った。
「浩輝、もう会えないのか?」
「どうだろうな。」
「近くに来たら必ず連絡しろよ。」
浩輝はなにも言わず微笑んだ。
お互いに結婚祝いとお餞別を渡して大きく手を振って別れた。
そして運命の日。
「後悔しない?」
浩輝が心配そうに言った。
「しないよ。だって私、あの日からずっと浩輝の手を離したことを後悔してた。
だから今度は絶対に離さないと決めたの。」
私は笑顔で浩輝の顔を見上げた。
「浩輝こそ、後悔しないでよ?」
繋いだ手をお互いぎゅっと強く握り、新しい世界へ私たちは踏み出すのだ。
最初のコメントを投稿しよう!