旅立ち

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「でもしょうがないよね、早くしないとお見合いさせられるんだし、浩輝くんは会わせられないし。」  葵がうんうんと一人で納得している。 「誰も知らないところで二人で生きて行くっていいと思う!  私は応援する!」 「おい葵、酒でも飲んだか?」 「飲んでないっ!」  呆れたような顔で葵を見ていた健人くんが、浩輝の方に向き直った。 「浩輝、もう会えないのか?」 「どうだろうな。」 「近くに来たら必ず連絡しろよ。」  浩輝はなにも言わず微笑んだ。  お互いに結婚祝いとお餞別を渡して大きく手を振って別れた。    そして運命の日。 「後悔しない?」  浩輝が心配そうに言った。 「しないよ。だって私、あの日からずっと浩輝の手を離したことを後悔してた。  だから今度は絶対に離さないと決めたの。」  私は笑顔で浩輝の顔を見上げた。 「浩輝こそ、後悔しないでよ?」  繋いだ手をお互いぎゅっと強く握り、新しい世界へ私たちは踏み出すのだ。
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