殺人犯と「いただきます」

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「あなたはテレビでも見て待っていてください。お風呂は食べたばかりなのでキツイでしょう?」 遠山さんはそう言い、皿洗いを始める。汚れの少ないコップなどから洗い、一番汚れているロールキャベツが乗せられていたお皿はあとで洗う。その光景をチラリと見た後、私はソファに移動して座った。 「どうぞ、コーヒーです」 数分後、洗い物を終えた遠山さんがコーヒーをマグカップに入れて持って来てくれた。それをお礼を言って受け取った後、二人ソファに並んでコーヒーを飲む。テレビには、題名すら知らないドラマが流れている。でも、私の耳にはドラマの音声は何故か耳に入ってこなかった。 「明日は、確か会社はお休みでしたね」 遠山さんが言い、私は「はい」と言い頷く。明日は土日でも祝日でもない。だけど、私の会社は休みなんだ。噂では、社長が「誕生日の日に仕事をしたくない」と言ったことがきっかけで、社長の誕生日の日は会社自体が休みになったらしい。 「実は、そろそろこの家を出ようかと思っているんです」 「えっ……」 遠山さんの言葉が、一瞬理解できなかった。出て行く?この家を? 「まだ警察の捜査はここまで及んではいませんが、一つの場所にずっといるのはリスクが大きいんです。羽も伸ばせましたし、そろそろと思いましてね。依頼も溜まってきていますし」
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