6人が本棚に入れています
本棚に追加
「あなたはテレビでも見て待っていてください。お風呂は食べたばかりなのでキツイでしょう?」
遠山さんはそう言い、皿洗いを始める。汚れの少ないコップなどから洗い、一番汚れているロールキャベツが乗せられていたお皿はあとで洗う。その光景をチラリと見た後、私はソファに移動して座った。
「どうぞ、コーヒーです」
数分後、洗い物を終えた遠山さんがコーヒーをマグカップに入れて持って来てくれた。それをお礼を言って受け取った後、二人ソファに並んでコーヒーを飲む。テレビには、題名すら知らないドラマが流れている。でも、私の耳にはドラマの音声は何故か耳に入ってこなかった。
「明日は、確か会社はお休みでしたね」
遠山さんが言い、私は「はい」と言い頷く。明日は土日でも祝日でもない。だけど、私の会社は休みなんだ。噂では、社長が「誕生日の日に仕事をしたくない」と言ったことがきっかけで、社長の誕生日の日は会社自体が休みになったらしい。
「実は、そろそろこの家を出ようかと思っているんです」
「えっ……」
遠山さんの言葉が、一瞬理解できなかった。出て行く?この家を?
「まだ警察の捜査はここまで及んではいませんが、一つの場所にずっといるのはリスクが大きいんです。羽も伸ばせましたし、そろそろと思いましてね。依頼も溜まってきていますし」
最初のコメントを投稿しよう!