ー思い出ー

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ー思い出ー

人には、誰だって出会いがあって、別れがある。 恋愛ドラマや映画の素敵な別れじゃなくて、もっと苦しくて辛い別れを僕は、知っている。 僕は、後悔ばかりの人生を今も送っている。 あの時、あんなことをしていれば…なんて事はもう考えないことにした。 あの日、僕が見たのは真っ赤な桜だった。 夜に…あの日だけに咲いた真っ赤な桜を僕は見た。 花びら1枚1枚が、君の血で染まっている、そんな桜を…。 君の死因は、交通事故だった。 君は、僕の目の前で死んだんだ。 「ありがとう」なんて都合のいい言葉を残して。 「幸せだった」なんてバカらしい言葉を残して。 そういえば、僕の家族も交通事故で他界してしまった。 姉は優しく、いつでも僕の事を見守ってくれていた。 妹は、いつも僕の事を大好きだと言ってくれていた。 なのに、それなのに…そうだ、あの日も…全部。 僕の大切なものが無くなった日に、桜が咲いていた。 綺麗に咲いて、綺麗に散っていく桜、でも僕の大切な人は、綺麗に散ってなんか無かった。 だから僕は…桜が大嫌いだ。
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