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 壁や服には血が飛び散り、手足は力無くダラリと下に伸びる。座り込んだ彼の顔は全くと言っていいほど血の気がなく、事切れていると判断するには十分だった。  そう……本当に、殺人事件が起きてしまったのである――  僕らはとりあえず一階のリビングへと集まり、話し合うこととなった。  なんせ外は大荒れ。車が出せるような状況じゃないし、電波も圏外。助けを呼ぶにも、明日まで待たねばならないのは自明だったからだ。  まさかミステリー研究会というサークルの合宿で、殺人事件が……あまつさえ、密室殺人が行われるなんて。ここにいる真犯人以外、誰が考えただろうか。  キッチンを向こうに見るリビング。激しさを増す雨が、ウッドデッキを遮るベランダを打ち付け、波のような音を出している。  僕らは、タータンチェックのクロスがひかれた低いテーブルを囲むように、モスグリーンのL字ソファに座っていた。  そこには僕と同じ一年の城咲(しろさき)(はな)、二年の荻原朱音(あかね)と三井賢太郎(けんたろう)、このコテージを保有する家の長子である三年の守川(もりかわ)龍臣(たつおみ)と、同じく三年の川田恵那(えな)の六人が並ぶ。離れたとこのフラットなソファには、ショックで気を失ったままの二年、田嶋(たじま)みのりが寝かされていた。  悩ましく眉間を摘んでいた守川はため息と共に、細いフレームのメガネをかけ直して言う。 「……加藤は殺された、ということになるのか。ここにいる、誰かに――」
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