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弟のリアムと一緒にベッドへ入ると燭台を手にしたグランマがお部屋の扉を3回叩く。
グランマはベッド脇の椅子に腰かけ「さて、今夜はどんなお話をしようか」と優しい目を向けてくれる。
「えいゆうのお話がいい」
その日は珍しくリアムがグランマにおねだりをした。
「英雄のお話がいいのかい?そうだねぇ、じゃあ・・・・」
グランマが少し哀しそうな目をしたのが気になったけれど、私はリアムと喜びの声を上げた。
「この街は昔、昔に燃えてしまったことがあるんだ」
グランマの言葉に私とリアムは顔を見合わせた。
「もえてしまったの?お家も?」
リアムが恐る恐るグランマに問いかけた。
「そうなんだよ。お家も、人も、牛や馬、羊もヤギも山も畑も店も全部が燃えてしまった。だけど、たった一人、小さな女の子が生き残ったんだ。その女の子は英雄に助けられてね。助けてくれた英雄から一つのお願いをされたそうなんだ」
リアムは「それで、それで」とグランマにキラキラした目を向けていた。
「ふふふ・・・リアムは英雄が好きなのかい?」
「うん!ぼく、えいゆうになりたいの。グランマもソフィアもママもパパもみんなを守るえいゆうになりたい」
リアムはベッドの上で右手を高々と挙げて見せた。
「そうなのかい。じゃあ、今夜は一人の女の子を助けた英雄のお話にしよう」
グランマはゆったりと微笑んだ。
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