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城田先生の淹れて下さった紅茶をいただきながら、先週アドバイスをもらってから探した学術記事を見せていくつか質問をする。すると先生は全く違う話を始めたのかと思うところから、見事に私の質問に対する例やモデルを示して下さる。
卒論に直接関係なさそうなことでも、心理学全般の話が興味深いので飽きることはない。
「星乃さんはネガティブかポジティブか、自分のことを考えてみてどうでしょう?」
「ポジティブだと、自分でも思いますし周りからも言われます」
「そう。ご家族からも?」
「はい」
「副理事長からも?」
「はい」
「…そう…」
私がポジティブでなければ、誰がポジティブなの?というくらいに思うけれど、城田先生は肯定せずに立ち上がり、エアコンのリモコンをピッと押した。暑いのだろうか…
「あ、星乃さん」
ブラインドを調整しようとした手で私を手招きした先生の近くに行くと
「あれ」
3階のこの部屋からはっきりと見える2階の廊下で、話をしている真と井上さんに視線を向けた。
「副理事長室前辺りか…何かな…何の違和感だ?」
「…真…副理事長がいつもの感じでないからでしょうか?落ち着きないです…マイペースな人なんですけど」
「なるほど、それで雰囲気が。大丈夫?突撃するなら付き合うけど?」
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