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「しません。意味あります?」
「ポジティブな星乃さんの答えがそれなら意味がないんだろうね」
城田先生はそう言いながら、ブラインドに左手を掛けてガシャと音を立てると、右手に持ったスマホで真たちの写真を撮った。
「何をやってるんですか?」
「星乃さんの‘意味あります?’に応えて、意味のあるものを生み出す行動」
「…?」
「今突撃しても‘話をしているだけだ’と返されれば違和感の起因は判明しないから意味がない。そう言いたいんだろ?今、副理事長に電話してみて‘今、何してる?’ってね」
ワケがわからないまま、でも先生の話はいつも関心を深めるものなので答えを求めるようにスマホをタップした。
ブラインドは薄く開いている角度で、外からこの部屋の中は見えない。そのブラインドに髪が触れるくらい近くに立って二人を見下ろしながらコール音を聞く。先生も私の真横で同じように二人を見下ろしているようだ。
真がスマホを手にすると井上さんがそれを覗き込み肩が触れる距離になる。
‘はい、美華?’
「あ、うん。今どこ?」
間違えた…と、先生を見ると頭をポンポンとされ
「今、何してるの?」
と言い直す。
‘今はまだ部屋で仕事だよ。美華は終わった?’
「ううん…ちょっと休憩だから電話してみただけ…邪魔してごめんね。じゃあ…」
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