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それでも眠れないところが悔しい…真と井上さんは何を話していたんだろう？時間的に、井上さんは6時間目の授業後間もないはずだし、普通に考えるとまだ職員室にいそうな時間だよね。
場所も不可解…副理事長室に入ってしまわないで廊下で話していたことに意味がある？考えれば考えるほど不自然で、不可解…眠れるはずがない。
こういう気持ちってマイナスに働くことは、この2、3週間で実感している。里穂に聞かれて、私と真はどうってことなく変わっていないように応えたけれど、実際には会っても体を重ねていないのは変化だ。私自身がすごく警戒心を持っているのだ…万が一でも同時に抱かれるのは嫌だ、と。でも聞くことも出来ずに、ただ体調だの理由をつけてそこを逃れている。
はっきりさせなきゃ…でも…はぁ…こうして土曜日だというのに早くに目覚めた私は、気まぐれに朝食を作ることにした。父は休みだけれど、店舗勤務の兄は週末に出勤するので起きてくるだろう。
まずはミックスビーンズのクミンガスパチョを作って冷やす。にんにくではなく酢漬けラッキョウを使うので香りがマイルドなこのガスパチョは素麺を加えてもいいから、今日のうちに誰かが食べるだろう。
それからじゃがいものオープンオムレツをフライパンで焼く。玉ねぎとじゃがいものシンプルなものなので、これも後で温めて食べられる。
両親は、平日に通いのお手伝いさんをお願いしているけど掃除が中心で、母が買い物へ行き料理をするので、私も兄もキッチンに立って好きなものは自分で作れる。父はおつまみを自分で用意することがある程度。キムチと納豆に小口ねぎ、いりごまを加えてごま油で風味付けをするとか、はんぺんに柚子胡椒を乗せて焼き海苔で巻くとか…加熱作業ゼロのものだけだ。
「あれ、もう起きてたのか？おはよう、姫美華」
「うん、おはよう。目が覚めたからね。一緒に食べようか？」
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