ゲインロス効果

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‘親しくても交際ではない、と言ってましたが、交際だと噂されるほど親しいのは好ましくないものですから’ 「はい。ですから?」 ‘真と姫美華さんの婚約は白紙にしていただけないかと…改めてご挨拶には伺いますが、姫美華さんとお話されるお時間も必要でしょうからまずはお電話で失礼した次第です’ 「この申し出は真くんの同意あってのことでしょうか?」 ‘はい’ 「分かりました。姫美華と話はしますが、川俣さんの方ですでにそういうお心づもりでしたら、これまで通りとはいかないでしょう。まずは川俣さんの方から、本日9時ですね…婚約白紙のお申し出があったことは記録しておきます」 静かにそう言い通話を終えた父は 「姫美華」 それだけ言って私の向かいに座った。 「ネオに送ってもらったことはあるけど真の前で決めた時ばかり。真が送れないからってなって彼が‘美華をよろしく’ってネオに言うから問題なし」 「わかったよ。送ってもらった日にもそう聞いたこともあったから間違いないし、姫美華に落ち度はないよ」 「当然よ。城田先生が卒論を担当して下さることになる前の段階から、毎回真に話はしてる。もちろん学園の外で会ったこともないわ。先生にも迷惑な話よね?仮にも今年度中は川俣に雇われている身だもの」 これには父でなく兄が反応した。 「学生が教授と話をすることを、イチイチ親しいなんて見ていたら学園なんて成り立たないのにな。もう出ないと…いってきます。姫美華、夜に話そう。今日はどこにも出るな。誰とも連絡も取らないで」 「うん。ちょっと周りが…よくわからないからそうするね。いってらっしゃい」
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