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家族会議では、母と姉が僕と三咲を散々罵倒したあとで、ショックだと静まり返った。
「非のない姫美華さんには申し訳ないが、早いうちに婚約はなかったことにしてもらうのが川俣にダメージが少ないんだ。真…分かるな?」
父の言葉に
「姫ちゃんは悪くないのよ?札束ぶら下げて行くの?」
美華を‘ひめちゃん’と呼ぶ姉が反発する。
「それもおかしな話でしょう?お金でなんて…うちが決められない立場でしょう?もう…こんな話をしている時点で姫美華さんには申し訳ないし、星乃さんにも会わせる顔がないわ」
母も珍しく強い口調になり、それから再び背中を丸めた。
「うちが全面的に悪いことは承知の上で…保身的な結論を出したい…」
父が苦渋の決断だとしたのは、美華がネオや城田助教授と親しいことを目撃している者はいるはずだから、申し訳ないがそこを理由に婚約解消する。もちろん先方へは何ら請求することはなく、婚約解消だけを受け入れてもらえるようにお願いする。
まだ美華たちが何も知らない今、取り急ぎ電話で連絡を入れて、後日挨拶に伺う…父がその連絡を入れたのは家族会議翌日の土曜日、星乃家が写真を受け取っていたとは誰も知らなかった。
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