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「失礼します」
開けたドアのレバー式ノブを握ったまま軽く頭を下げると
「珍しいね、姫美華がここに来るなんて」
2台のパソコンの前で立ち上がったネオがにこやかに言う。
「事務局長室に用事なんてなかったから初めてね。お仕事は大丈夫?出来れば話がしたいわ」
「大丈夫だよ。5時は過ぎるのを待って訪ねてくれたの?掛けて」
私は深いグリーンのソファーに浅く腰掛けると
「お茶は結構よ。ネオも座ってくれる?」
小さな冷蔵庫を開けたネオに向かって伝えた。
「もらったチーズケーキバーがあるよ?」
「いらないわ。ネオは私がここに来た理由が分かるんじゃないの?」
私が彼を真っ直ぐに見ると、彼は私の隣に座った…このソファーが大きいことは分かるけれど、普通は向かいに座るものじゃないの?
「うん?真と伯父さんから話は聞いたから、予想は出来る」
「そう。でも、真たちから話を聞く前にネオは全てを知っていた…違う?」
私は背中をアームレストに触れさせ、膝をネオに向けるように座り直しながら、彼のグレーブラウンの瞳を見つめた。
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