3669人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺が全てを知っていた…そう思う理由は？」
ネオも私に膝を向けて長い足を組むと、右肘を背もたれの上に掛けて体を預ける。
「そんな気がしたからよ」
そんなにすんなりとこちらから何も言わないわよ。私はまだ仮定を決定付けるものを見極めないといけない。ここからは嘘つき心理学をフル回転よ。
嘘をつく理由は‘何かを隠している’だけれど悪いこととは限らない。嘘という箱に見せたくない、見られたくない、知られたくない物を隠す。時にはすごくいいものが入っていたりするのだけれど、隠した当の本人が箱の中に何が入っているのか忘れてしまっている状態がほとんどだという興味深いものが嘘。それを探していく手法が、心理学だったりするのだ。
「そう。その全てってどこから始まってる？終わりが今の状態だとして」
ネオは特に隠すつもりはなさそうだけれど、自分からペラペラと話すこともしないかしら？
「井上さんの着任後、環境や待遇など不備不満に対して対応するのは事務局の仕事なのに真が度々職員室に行っていた。ここからネオが仕向けた？」
「目的は？」
「二人がヨリを戻すこと」
「残念。始まりはそれより前だよ」
目的について否定はしないのね。私はここで自分の仮定に自信を持った。
最初のコメントを投稿しよう！