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ネオがデスクの引き出しから取り出して私に見せたのは、夜の街で井上さんが真の首に巻き付き、真が彼女の腰を支えている構図で周りを気にせず深く口づけているようだ。
「これは姫美華が彼女に会った日の同級生の食事会のあと」
「ネオは私を送ってくれたでしょ?」
「そのあとで十分だよ。行く店は予想出来たし絶対に何かが起こると、あの日の二人を見て思ったからね」
「わざわざこれを撮りに行く労力が信じられないわ」
写真を取りに行ったあと一緒に写真を見る風に自然に距離が近くなっていたネオが、私の髪を撫でて
「そんな労力、何てことないほど好きだからね」
と髪に口づける。
「やめて」
彼の手を払いのけながら
「ネオの目的は私だって言うの?」
目は逸らさずに問いただす。
「ずっと姫美華が好きだからね」
「…井上さんの着任は…偶然?計画的?」
「それは偶然。それが決まってから真と姫美華の婚約解消が可能だと考えたんだよ」
「……それが始まりで真相…じゃあ…ネオの目的は…終わりは今の状態ではない?」
「そうだね。愛する姫美華が俺のものになってくれること…」
ネオはそう言ったかと思えば、すでにアームレストに背中をつけ逃げ場のない私に覆い被さり強引な口づけに及んだ。
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