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 自分に興味を持った他の部署、それは一体どこなのだろうかと考えあぐねた。自分は交番勤務を二年してから公安部に引っ張られた。逆に言えば、それ以外の刑事課や交通課などの仕事を知らない。そのうえ今回は明確な命令違反を犯していた。そんな自分を今さら欲しいという部署があるとも思えない。  課長がひときわ大きく息を吐いた。 「向こうから打診があったので一応伝えておく。お前を欲しがったのは、公安四課の分室(ぶんしつ)(べっ)(ぱん)だ」  その言葉を聞いたとき、雷に打たれたような衝撃を覚えた。  分室(ぶんしつ)(べっ)(ぱん)、あの廃屋で青労連(せいろうれん)中核メンバーを有無も言わさず皆殺しにし、居合わせただけのヒューゴまでもを虫けらのように葬り去ったあの連中。 「どうして、彼らが」  考えを(まと)める前に言葉が口を()いた。  無論、理由は分かっている、監視のためだ。公安四課、いわゆる『公安総務(コウソウ)』は組織図にも載っている公の組織だし、分室(ぶんしつ)(べっ)(ぱん)の存在を知るくらいなら問題はない。
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