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 だが、自分は違った。彼らと直接対峙してその行動の一端を知ってしまっている。それはまさに秘密を握る者だった。  秘密を握ってしまった者への対処は基本的に三つしかない。一つは口を塞ぐ、もう一つは相手の秘密を握り返す、三つ目は秘密を共有しておいそれと暴露できない状態に追い込む。この三つだった。  (べっ)(ぱん)は秘密を握っている自分を危険な存在だとみなしているのだろう。だからこそ、自分を同じ部署に置いて違法活動をさせ、共犯者へ仕立て上げることを狙っているに違いない。 「監視、ですか?」  虚しさと組織の論理への憤りを覚えながら尋ねた。  覚悟していたことではあった。(べっ)(ぱん)の活動内容を知ってしまった以上、どの部署に行こうが、警察を辞めようが公安総務(コウソウ)の監視は続く。それでも、まさか自分を取り込もうとするとは思っていなかった。  課長が重々しく(うなず)いた。 「恐らくはな。(べっ)(ぱん)の存在を知る程度なら大して問題はない。だが、お前は活動内容を実際に見聞きしてしまった。それは彼らにとって想定外だったのかもしれない」  そこで課長が息を継いだ。
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