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「だが、それだけでもないだろうな。(べっ)(ぱん)は警察の中でも特殊な待遇だが、一方で任務は過酷を極めるし、優れた資質も必要とされる。恐らく、たった一人であの黒猿(くろざる)からロニー・フォスターを奪い返したお前の能力を見込んでいる部分もあるとは思う」  複雑な気持ちだった。能力を見込まれたと言えば聞こえはいい。しかし、監視対象になったということは、自分が警察にとっての爆弾を背負い込んだことを意味している。  (べっ)(ぱん)に行くということは、安全を保障されるということでもあった。秘密を握った者にとっては、秘密を抱えている相手の懐に飛び込むことが最も安全な行為だからだ。 「お前のことだ、その申し出が何を意味しているかはもう分かっているだろう。だが私としては別班への異動は勧めない、四課一係への異動を強く推奨する」  課長が断じるような強い口調で言い切った。
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