13人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前はもう心身ともに十分すぎるほどに疲れ切っている。このうえ別班に異動すれば、今以上に過酷な任務に身を投じなければならなくなるんだ。そんなことになればお前の心身が壊れないとも限らない。内勤のような落ち着いた環境で過ごした方がいい」
課長らしからぬ物言いだった。逆にそれが別班の任務の過酷さを良く表しているようにも思える。
「少し考えさせていただけますか?」
そう答えると、課長は二度、三度と首を縦に振った。
「ああ。今この場で決めなければならないわけじゃない。あと一週間くらいは自宅待機を命じる。その間に考えておいてくれ」
何かを切に願うような言い方だった。
「分かりました。ありがとうございました」
そう返事をし、踵を返した。
最初のコメントを投稿しよう!