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 ウィンディが亡くなってから約一ヶ月、ロニー・フォスターによる襲撃事件やその前後に起こった不当解雇撤回闘争などを入れれば、もう二ヶ月以上が経っている。ちょうど、マスコミが事件の検証などといって騒ぎ始める時期だ。  何も知らない奴が勝手なことを言っているだけだ、そう自分に言い聞かせたが、自分の興味はその番組へと引きずり込まれていった。  ――まあ、今回のことでは、多少の犠牲はやむを得なかったのかな、って思います。  インタビューに応じていた若い男がそう言った瞬間、耳の奥で甲高い音が流れ始めた。頭に火でも近づけられたように脳が沸騰し始める。 「多少の、犠牲?」  自分の口が自然と言葉を形作った。多少の犠牲、その無神経で無責任な言葉が自分の琴線(きんせん)を激しくかき鳴らしている。 「なあ、何言ってんだよ? お前」  唇をわななかせ、震えた声でそう言いながらテレビへと歩み寄った。  ――元はといえば許されない方法を取ったのはマルドゥースの人たちだと思うし。それに戦争なんてことになったら取り返しがつかなかったわけだから、まあ、多少の犠牲はやむを得なかったんじゃないかな、って。
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