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自分は守るべき価値があるもののために働いている、ずっとそう信じてきた。だが、自分が守ろうとしていたものは屑同然だった。ましてやエルヴィスやヒューゴ、ウィンディがその命を懸けるような価値など微塵もなかったのだ。
フローリングの床にへたり込んで呆然とした。
一体自分は何を間違えていたのか、国民の生命と財産を守る、そんな誓いさえ間違いだったのだろうか。
手順違い、そんな言葉がふわりと頭の中に浮かび上がり、同時に自分の人生の意義が脳裏に現れた。まるで水が氷になるようにゆっくりと。
「ふっ、はは、あはははは」
咽びの混じった乾いた笑いを立てた。
ようやく間違いの根源に気付けたような気がした。自分は順番を間違えていたのだ、守るべきもののために働く、それは間違いではない。だが、守るべき対象にその価値がないのだとしたら、まずはその対象を守るべき価値のあるものへと変えるしかない。
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