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「考え直す気はないのか?」
座ったままの課長は、信じられないと言わんばかりに自分に問い返してきた。
「ありません」
顔どころか、視線さえ微動だにさせず答えた。
あれから一週間、自宅待機命令が解除になり、オルディス警視庁十四階にある公安部フロアに戻ったと同時に、課長のデスクへと向かっていた。全ては自分の中に宿った断固たる覚悟を語るためだ。急いでいるわけでもなかった。どんなに時間を置こうが、誰に何を言われようが自分の決意が揺らぐことはない。
「あの班に所属するということは、レオン・ウェルズという人間が戸籍上死ぬということを意味している。それに、別班に行くってことは人生の全ての可能性を捨てるってことだ。別班から離脱できるのは死ぬときだけだ。本当に分かってるのか?」
「分かっています」
間髪入れずに答えを返した。
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