プロローグ おしゃべり

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『なあなあ、見た?』 『オフコース!朝からずっとノイジーですからね。嫌でも目に入ってしまいます。今日は実にバッドデイです』 『あらあら、そんな言い方はよくないわよ?うまく付き合っていかなくちゃ。アタシ達にとってこれから重要になってくる人達なんだから』 『ああっ?何言ってんだよオメエ。冗談も休み休みにしな』 『あらアタシ、冗談なんて言ってないわよ?坊やこそ、何をそんなにツンケンしちゃってるのかしら?』 『ああん?坊やなんて呼ぶんじゃねえよっ!』 『あら可愛い。照れちゃって』 『うっせえなあ!照れてんじゃねえよ!テメエ、調子こいてんじゃねえぞっ!』 『シャ――――ラップ!ノイジーなのはあちらだけで結構です!』 『そう言うオメエが一番うるさいんだよ』 『でも可愛い()うたら、向こうにも可愛い男の子おったよなあ?』 『あら?あらあらあら!可愛い男の子ですって?』 『なんや、見てへんの?』 『I did!ルックしましたよ?』 『ちゃっかり見てんのかよ』 『情報はベリーベリーインポータントですからね』 『ねえねえ、どんな子?どんな子だったのよお?』 『可愛らしい男の子やったで?小学校に入ったばっかりくらいかなあ?』 『あら、じゃあ坊やと同じくらいかしらねえ?』 『Oh!フレンドになれたらいいですね』 『なれると思ってんのかよ?どうせあっちはオレらなんて見えやしないのに?』 『まあ、それもそうやけど』 『でも、前にも何人かはいたじゃない?アタシ達が見える人』 『ほんのスモールの人数ですけどね』 『そいつらは引っ越してきてもすぐに出てったけどな』 『なかなか照れ屋さんで無口なシャイボーイだったわよね』 『それって、うちらに見えてるってばれへんようにしてただけちゃうん?』 『そりゃそうだろうよ』 『ホワイ?ばれたらダメなのですか?』 『アタシ達が見えてるとわかったら、アタシ達が何かしてくるとでも思ったんじゃないかしら?』 『触らぬ神に祟りなし。君子危うきに近寄らず』 『なんや、そんな難しい言葉よお知ってるなあ』 『But、あれだけハッキリ目が合ってて見えてないフリはインポッシブルでしょう』 『それでもよ。彼らにとったら、それでも見えないことにしたかったのね。きっとそうすることで平常心を保っていたんじゃないかしら』 『まあ、無理があり過ぎだけどな』 『おや、皆揃ってここにいたのか』 『っ!』 『っ!』 『あら…』 『あ、おはようございます!今日も素敵なお召し物ですね』 『まあ、坊やは相変わらずこの人の前じゃいい子ちゃんなのねえ』 『素敵やけど、いっつも同じ服着てはるで?』 『うっせえな。だから ”今日も” って言っただろうが!』 『ノンノンノン。憧れの君なら、いつも同じ服を着ていても違って見えるものなのですよ』 『へえ、そうなん?』 『うっせえなあ!』 『あらやだ可愛い。照れちゃってるのね』 『可愛いとか言ってんじゃねえよ!』 『そうか、其方(そなた)は可愛いと言われるのが嫌なのだな。我も其方を可愛らしいと感じておったが、すまぬことをしたな』 『え?いや、全っ然!オレ、可愛いですから!』 『……毎度のことやけど、めっちゃ清々しい猫かぶりやなあ』 『やだ違うわよ。あれはツンデレよ』 『そんなことよりも!今最もインポータントなのは、彼らが見える(・・・)かどうかです』 『そうだな、その意見には我も賛成だ。 どれ、ひとまず歓迎の挨拶と参ろうか――――――…………
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