200人が本棚に入れています
本棚に追加
「空也さんとは親しい友人で、財産なんて知りません。住むところが無くなって困っている私を助けてもらったのです」
「住むところが無い? そんなに貧乏なのか?」
驚いた様子がおかしい。
「何がおかしいんだ?」
「あ、すいません。貧乏じゃないですよ。住んでいたアパートの老朽化で新しく住むところを探していたんです」
一度立ち上がって、コーヒーのお代わりを注いで、自分の分も取ってくる。
「じゃあ、同居は空也から言い出したのか?」
「はい。引越もしてくれました」
仕事から帰ったら全ての荷物が運び込まれて、すぐにでも生活できるように整えられていた。
驚いたけど、迷う余裕がなかったのは幸いなのかもしれない。
空也のあの強引さがあったから今の『同居』が続いているのだから。
『ガチャンッ』
玄関の方から音がした。
「帰って来たみたいですね」
玄関に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!