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「このままここにいるか?」
らしくない空也の言葉。
私の不安が伝染したんだろうか。
「行きます。恋人ではなくても……紹介はして頂けるのでしょう?」
少し、ほんの少しだけ傷つく。
男同士だから。
堂々とは宣言できないから。
「ああ」
優しい口づけを額に落として、大きな優しい手が撫でた。
その手が時計をはめた腕を取って、時計に口づけた。
まるで儀式のようなその姿に胸が高鳴る。
お互いスーツで。まるで結婚式のような錯覚に陥る。
「空也……」
空也の腕を取って、同じように時計に口づける。
「お前は信じて、俺の側にいろ」
「はい」
微笑んで頷いた。
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