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 一族のグループや傘下にある企業と関わりを持っている輩は度々仕掛けてくる。  雅なんて露骨過ぎて分かりやすいが、見えないところで仕掛けようと画策している人間は少なくはない。 「海は悪どいからな、関わらない方がいい。俺の家族もだ」 「……淋しくないですか?」 「何を言っているんだ?」 「だって……いざという時に頼れないじゃないですか」 「そんな時に頼ったら足をすくわれる。お前は今まで通り生活していればいい」  何があってもお前は気が付かなくていい。  そうやって甘えていればいい。  俺が守ってやろう。  知って傷つくよりも先に予防しておく方がいいだろう。  抱き寄せた初音の腕に留めた時計を見つめる。  手に入れた時から付き纏う重責。  初音に気付かれないように、傷つけないように、俺の責任を果たそう。 「しかし、誰もいないわけじゃない。陸也兄は信頼できる」  一族の中で唯一心を置ける人間。  7歳上の兄。  ゆくゆくは父の後を継ぐだろう。 「空也は何人兄弟なのですか?」 「確かなのは3人だ。長男の陸也と次男の海。俺は一番下だ」
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