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 ~・初音視点・~  空也がテレビの仕事に出掛けた。 「寝ていていい」  そう言われて、ベッドで見送って、昼過ぎにシャワーを浴びた。  書庫で本を読んでいると、来客を知らせるインターフォンが鳴った。  誰だろう。  玄関の横にある来客対応用のモニター付きのドアフォンのボタンを押した。 『開けろ』 「空也? どうしたのですか?」  忘れ物でもしたのだろうか。  鍵は持って出たはずだから、チャイムなんて鳴らさなくても入ってこられるはずだけど。  何か事情があるのだろうか。 「今開けますね」  マンションのエントランスの鍵を開けた。しばらくすると玄関のチャイムが鳴った。 「空也?………どなたですか?」  玄関を開けるとそこにいたのは空也ではなかった。 「お前こそ誰だ?」  声はよく似ている。マイクを通すと分からないくらいに。 「あの……時谷先生と同居している宮初音です」  玄関のノブを持ったまま答えた。 「邪魔するぞ」  押しのけるようにして中に入ってきた。 「あの……ちょっと」  慌てて追いかける。  リビングに入ると中を見渡している。
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