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急いで側を離れた。
キッチンで見ていても仕方がないので、コーヒーを湧かす。
煙草を吸い終わるのを見計らって、コーヒーを出した。
時計を見るとまだ3時過ぎ。
空也が帰ってくるまで、2時間以上ある。
「初音。お前はどう見ても男のようだが、空也と同居しているのか?」
同居と男であることが何で関係あるのだろうか。それに初対面で呼び捨てって……。
「私は男ですけど、空也さんと同居しています」
長い足を組み替えて、こっちをジッと見つめる。
まるで品定めをするような目つきに嫌悪を感じる。
その視線が腕時計で止まる。
ジーンズにTシャツというラフな格好。今更隠すのも余計に不信に思われるかもしれない。
「お前、仕事は?」
「芸能事務所でマネージャーをしています」
驚いた顔をして何度か頷いた。
「何ですか?」
何か納得したように頷いているのが気になる。
「いや……。空也の気まぐれに付き合わされて大変だね」
そう言って笑う。
気まぐれ?
空也と同居していることが、空也の気まぐれということだろうか。
「その時計は空也にもらったのか?」
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