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~・空也視点・~  だから避けていたのに……。  テレビの仕事で、初音が休みだというのに留守にしていたせいで、あいつが勝手にマンションに上がり込んでいた。  その上、「初音を気に入った」との置き土産を残して帰って行った。  あいつとは好みが似ている。  幼い時から。  俺が気に入った物を見つけては横から奪っていく。  きっと同居していることを『陸兄』に聞いたのだろう……。  あいつ………海(かい)……1つ年上の兄。  陸兄とはタイプが全く違う。  どちらかと言えば攻撃性が強い。  欲しいものは汚い手を使ってでも手に入れる。  しかも……俺から奪うことを好んでする。  『初音を気に入った』だと。厄介な。  ため息をついて椅子に座った。初音がコーヒーを入れて、向かいの席に座った。 「空也?  海さんを部屋に入れたらいけませんでしたか?」  不安そうな顔の初音。  ため息をついたことを気にしているのだろう。 「それは構わないが……あいつとは関わらない方がいい」 「兄弟なのに?」  兄弟だからこそあいつのことも、こちらのこともよく知っている分かっている。
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