41人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
あとがき
「ビビッドな愛をくれ」を最後までお読み頂きありがとうございました。
なぜこのタイトルなのかという理由は、きっとみなさまは文中で見つけて下さったことと思います。
律に対しての憧れを恋だと思っていた優吾は、南仏の鮮やかな街並みやショーウインドーを見てこう思います。
文中より
【ここに来る前にパリにも寄ってみたが、デパートやブティックに並ぶ商品は全て洗練されていて、モノトーン色が強かった。
でも、南仏は逆だ。
輝く太陽の下、目を奪うようなコバルトブルーの海や、色とりどりに咲き誇る花々が、生き生きとした色彩のパラダイスを作っている。
南仏に滞在したピカソやゴーギャン、セザンヌ、マティスなどの有名画家の絵がどうしてあんなに色鮮やかなのかを、日本にいたらその理由を知ることも無く、圧倒されるような色の温度を肌や目で感じることもなかっただろう。
狭い路地を挟んで、所せましと並ぶブティックには、色とりどりの商品が喧嘩をすることなく美しく配置されていて、暗さやせせこましさなどを微塵も感じさせない。
律は、絶対に選ばない色。
ギタリストは目立ちたがり屋で、自分がいないとバンドが成り立たないと思っている者が多いと、楽器演奏者別性格診断に書いてあった。
律は確かにバンドを率いるリーダーだったけれど、物事の正確さに拘った。
メジャーまであともう一歩と期待されながら、コピーバンドから抜け出せなかったのは、そのせいもあるのだろう。
黒と白の世界。エッジが利いてスタイリッシュに見えるけれど、個性のない音楽】
自分の才能に限界を感じ、失恋の痛みにも耐えかねていた優吾が見つけたのは、存在自体が鮮やかで、世界中を魅了する音楽を生み出すリアムでした。
届かないと思いながら、必死で努力して自分を磨いた優吾が渇望したもの。「ビビッドな愛をくれ」願った相手とこれから優吾は、きっと栄光の道を進み、私生活の上でも極上のロマンスと幸せを紡いでいくことでしょう。
みなさまの上にも、幸せが降り注ぎますように。
心から願いをこめて……レド🐰より🐾
最初のコメントを投稿しよう!