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建ち並ぶ倉庫の裏を駆け抜けて、あらかじめ決めていた脱出経路を目指す。 「瞬時に対応できる(ごう)(もの)じゃなくて良かったよ」 「この作戦の唯一にして最大の欠点は、相手がこっちの言うことガン無視したら終了のお知らせっていう。あ、作戦がじゃなくて生命(いのち)がね」 俺は先頭を走っていた。 倉庫間の狭い通路から人が飛び出して来た。気付いた瞬間には勢いよくぶつかっていた。互いに弾かれ、反動で後ろによろける。衝突の痛みに顔を歪めながら相手を見る。 男だった。倉庫の壁に手をついて、体勢を整えている。俺を見てくる表情は険しく、右手に握った拳銃をこちらへ向けようとしていた。 「ッ」 こちらはまだ体制が崩れたままだ。 後からやって来る明石が「おっぱい! おっぱい!」と叫んでいるが、男は耳を貸さない。相棒がシンプルにヤバい奴になっている。蛇のほうも声を上げている。決して大声で言ってはいけない純度の高いスラングを嬉々として連呼していた。シンプルに最低だ。 放たれた銃弾を、地面を転がって回避。転がった勢いで立ち上がり、なだれ込むように敵の間合いに滑り込む。
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