6. コロッケ

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「あ、でもーー」  和希は思い出したように付け足した。 「母さんのコロッケが食べたくなると寄るんだ。コンビニのコロッケはあそこの方がうまいから」  (そうだったのね!)  謎は解けた。  前回は実家でコロッケを食べ損ねて帰ったので、無性にコロッケが食べたくなりあのコンビニに寄ろうとしたのだ。でも、今回はコロッケを食べて帰ったので、寄る必要はなかった。だから死なないで済んだのだ。 「母さん、それがどうしたの?」  電話の向こうで和希が聞く。 「ううん。またコロッケ食べたくなったらいつでも帰っておいで」  房子は息子に優しく言うと電話を切った。 『次のお詣りの時には、わしにもそのコロッケとやらを持ってきてくれ』    房子は夢の中で、最後に老人に言われた言葉を思い出す。早速、山盛りの揚げたてコロッケを持って、神社へお礼参りに行こうと決めた。 《 了 》
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