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「あ、でもーー」
和希は思い出したように付け足した。
「母さんのコロッケが食べたくなると寄るんだ。コンビニのコロッケはあそこの方がうまいから」
(そうだったのね!)
謎は解けた。
前回は実家でコロッケを食べ損ねて帰ったので、無性にコロッケが食べたくなりあのコンビニに寄ろうとしたのだ。でも、今回はコロッケを食べて帰ったので、寄る必要はなかった。だから死なないで済んだのだ。
「母さん、それがどうしたの?」
電話の向こうで和希が聞く。
「ううん。またコロッケ食べたくなったらいつでも帰っておいで」
房子は息子に優しく言うと電話を切った。
『次のお詣りの時には、わしにもそのコロッケとやらを持ってきてくれ』
房子は夢の中で、最後に老人に言われた言葉を思い出す。早速、山盛りの揚げたてコロッケを持って、神社へお礼参りに行こうと決めた。
《 了 》
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