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「ああ。死んだ人間を生き返らせるのは、仏道に逆らうからさすがに無理だが、最後にコロッケとやらを食べさせる程度ならわしでもできる」
「ありがとうございます!」
夢の中でもいい。もう一度、和希に会えてコロッケを食べさせられるなら、それでいい。
「ただし、『コロッケを食べさせる』こと以外をお前の意思で変えようとしてはならない。そんなことをした途端、息子は永遠に無間地獄に落ちて苦しみ、生まれ変われなくなるぞ。いいな」
「は、はい」
房子は肯いた。
「お前が他の人間を使って、息子の死を止めようとするのもだめだ。わかったな」
コロッケを息子に食べさせられるなら、なんでも言うことは聞こう。
「わかりました。約束します」
「それと、うまく行った暁には、次のーー」
老人の言葉を聞いていたら、房子の前が急に真っ暗になった。
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