3. あの日へ

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 しかし、我が子に最後にコロッケを食べさせてやることができるのだ。それだけに集中しようと、房子は決心した。  身支度を整えた房子は、牧夫と自分の朝食を用意するためにキッチンに向かった。ぼんやりとした記憶しかないが、今日は日曜日で、朝はトーストにしたはずだった。 「あっ……」  房子は思い出す。まさかその日に和希が帰ってくるとは思わなかったので、余っていたジャガイモを朝、ポテトサラダに使ってしまったのだ。  今回はメニューを変えよう。前回はスーパーに買いに行ったために、間に合わなかったのだ。息子にコロッケを食べさせるための変更なら、問題ないだろう。    房子はポテトサラダをツナサラダに変更し、ジャガイモを残した。  何事もなく昼になり、午後になった。房子は早めにコロッケ作りを始めることにした。 「あれ、今日はコロッケか。たくさん作ってるな」  牧夫がキッチンに来て、房子の手元を見て言う。ちょうど炒めた挽肉と玉ねぎを、茹でてマッシュしたジャガイモと混ぜ合わせているところだった。確かに二人には多すぎる量だ。 「半分は衣をつけて冷凍しておくんですよ」  和希がこれから帰ってくるなんて言えるわけないから、房子は誤魔化す。和希が帰る頃には衣をつけて、揚げるだけにしておきたかった。
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