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シャッフルしていると、手元から一枚のカードが裏向きに飛び出してきた。
「おっと。ではこのカードから少年の現状をみてみようか」
亜衣姉ちゃんはそのカードを手に取るとそのままひっくり返した。
「これは……ワンドの・・・・・・七・・・・・・うーん」
ーガサッー
シャッフル中に飛び出したカードをそのまま使うという手法は、多くの占い師が実際に採用している方法だから、そこに問題はない。問題なのは……。
「どうやら少年は三択に迫られているようね」
亜衣姉ちゃんは少し悩んだようなそぶりをした。口調も微妙にそれっぽい言い方を強調し始めたように感じる。
「ひとつは、このまま片思いを続ける。ひとつはこの恋を諦めて次の恋を探す。そしてもう一つは、『告白する』ね?」
これはコールドリーディングの一種だ。でも僕はあえて知らないふりをしておこう。だってこれはきっと亜衣姉ちゃんが僕を元気づけるためにやってくれているのだと信じているから。そうでなかったらあんな……。
「今度は上から六枚引いた次のカードを見てみるね」
そう言いながらそのカードを返すと、再び少し悩むそぶりをした。
「ソードの三……なるほど。ズバリ少年は告白したい!そうでしょ。違う?」
ーガサガサッー
そのカードが僕の視界に入って、思わず吹き出しそうになるのを必死に抑えた。亜衣姉ちゃん、どうしてそうなるの。もしかしてこれには別の狙いがあったりして?それならそれで、狙いは何なのかと、逆に興味が湧いてきた。と同時に、これが亜衣姉ちゃんと戯れる最後の時かもしれないと思うと、取りあえず最後までやり遂げてもらおうと、少し寂しさを感じながらそう思った。
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