1.“全”と“月”

10/10
前へ
/158ページ
次へ
本来ならあと少し世話をする予定であったが、数年前に身体を壊したために、一族の元へ戻り、長期療養中であった。 母のことを思い浮かべた雪花は、無性に月詠に会いたくなった。 「まぁ…雪花が会いたいって言うなら、向こうは大歓迎だとは思うけれど…」 「本当?!じゃあ早速行きましょ!」 月鬼の言葉を聞いて、パッと表情が明るくなった雪花は、勢い良く立ち上がった。 「なっ…おい、ちょっと待て!」 叫ぶ月鬼の声も虚しく、雪花は部屋を飛び出して行った。 「全く…手のかかる………」 月鬼は再び盛大に溜息を吐くと、雪花の後を追い、月氏一族の村へと向かった。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加