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僕達の父はしつこい人なんで、と栄達は笑っていた。
「もちろん、そのとき父の両親は既におらず、兄弟もいなかったために成し得たことかもしれませんし、母もなんだかんだで父に惹かれていたようなので、結果としては良かったんですけどね…」
はは…と渇いた笑いをしながら、栄達は言った。
「あの…」
話が一区切りしたところで、雪花は栄達に聞いてみたいことが浮上した。
「はい、姫様」
「その、栄仁さんも栄達さんも、お2人共瞳の色は受け継がれていませんよね…」
そう。実は彼らの瞳の色は、月氏一族の特徴を示す月光のような金色ではなく、雪花達と同じ黒もしくは焦げ茶色と言ったところだった。
「実はそうなんです。2分の1しか血を引いていないからか、僕達は瞳の色を受け継いでいませんし、変化も出来ません」
「え…?」
雪花は栄達の説明に驚いていた。
「あ、でも身体能力は多少受け継ぎましたよ?」
栄達は雪花の表情にクスクスと笑いながら、そう言った。
「…まぁ母は瞳の色が出なくて安心したようでしたけどね。やはり帝国の人間には分かってしまいますから…だけど…」
栄達はひと呼吸の後、再度話しだした。
「兄も僕も、母の瞳が好きだったので、受け継げなかったことを残念に思っておりました。とても綺麗な瞳なのに、と…」
瞼を伏せながら、栄達はそう言った。
それを聞いた雪花は、確かに月氏一族の瞳は皆、とても綺麗な色をしている、と同意した。
「そうそう。月鬼殿とは、子供の頃にここ西都で知り合いました」
当時のことを思い出しているのか、栄達は笑いを堪えながら言った。
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