8.初めて気づいたこと

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そして栄達は少しいたずらっぽく笑ったかと思うと、 「そうそう!昔、月鬼殿は姫様のことを“とても可愛いお姫様なんだ。だから絶対自分が守る”って言ってたんですよ」 人差し指を口に当てながら、内緒ですよ?と言った。 「え?!月鬼が?…そんな、まさか」 子供の頃の話とは言え、雪花はまさか月鬼がそんなことを言っていたなんて、想像がつかなかった。 驚く雪花に栄達はクスクスと笑いながら、どこか嬉しそうに話した。 「本当です。月鬼殿は昔から姫様が大切なんです」 それを聞いた雪花は、だんだん頬が熱くなるのを感じた。 「そんな…。だって月鬼はいつも怒るし、からかうし、それに…」 恥ずかしさを隠すための言葉を紡いでいた雪花だったが、その後の言葉を飲み込んだ。 なぜならば、今回の一番の原因である気がしたから。 「頼りないって、戦うには足手まといだって思ってると思うの…。それなのに、私が無茶を言ったから仕方なく…」 情けなくて、悔しくて…雪花は唇を噛み締めながら俯いた。 すると栄達は全力で否定してきた。 「そんなことありません!月鬼殿がそんな風に姫様のことを思うはずがありません!」 雪花は驚きながら、そう言った栄達を見た。 栄達はハッとして、冷静になった。 「あ…すみません、つい…」 「いえ…」 しばらくの間、沈黙が流れる。 先にそれを破ったのは、栄達だった。 彼は静かに話し始めた。 「実は姫様方がこちらに運ばれてすぐ、一度だけ月鬼殿は目を覚ましているんです。ほんの数分でしたが…」 「えっ…?」 初めて聞いた話だった。どうして言ってくれなかったのか、と言いたくなったが、すぐに止めた。
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