8.初めて気づいたこと

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いつからだろう…。 少しずつ意識し始めていた。気のせいだと思って見えない振りをした。 はっきり気が付いたのは、西都に来てからだ。初日に手を繋いで街を散策した。 月鬼と手を繋いで歩いたことなんて、幼いとき以来である。男性の大きな手。逸れないようにとしっかりと繋がれてはいたけれど、どこか優しくて、温かかった。 そして、驚く程自分の心臓が速かった。気付かれたくなくて、必死に平静を装ったけれど、月鬼に気付かれていないか、内心ヒヤヒヤしていた。 だけど私達は主従関係にある。 手を繋いでいれば、傍目からは恋人同士に見えてしまうだろう。月鬼も本当はそう見られるのは嫌かもしれない。 だからそう聞いたのに、まさか、 「雪花が逸れる方が面倒なんだよ」 …なんて言われると思っていなくて、ショックだったのだ。月鬼の中では、私は女ではなく、ただの子供…良くて妹みたいな感じなんだろうか。 そう思い、何となくいじけてしまっていた。もちろん、月鬼は役目のために私といてくれるのだから、私が一方的に思っているだけで、月鬼は悪くない。それに、仮に私の想いを受け入れてくれたとしても、きっと一緒にはいられない。将来的に私は家を再興したいし、月鬼はいずれ一族に戻るだろう。 それなら、何も伝えないでいた方がいい。 この想いは早く消してしまおう…。 そんな風に思っていた。 でも栄達から、月鬼にとって大切な存在である、などと聞いてしまえば、消そうとしていた想いは消せなくなってしまった。 大切にしたい。 守りたい。 ずっと傍にいて欲しい…。 叶わないと知りながら、雪花の心の中はそんな想いで溢れていた。
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