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すると獣達は、途端に悲しそうな瞳になった。
「命からがら逃げてきた生き残りで、本当に小さな村を作りました。しかしもう、子供は生まれて来ないでしょう…遅かれ早かれ、我々は滅びる運命だったのです」
人数の激減により、近親婚が進まざるを得なくなった。その上で環境の変化、さらにはいつ見つかり殺されるか分からない恐怖による過度のストレス…要因はあり過ぎる程あった。
「我々一族はもうあと20人もおりません。今さら言われなき罪を被るような力も無い、少数一族です。どうか黙っておいて頂きたい」
すると奨はある一言が気になった。
「…今、“言われなき罪”と申したな?それはなんだ?お前達は帝国を裏切ったのではなかったのか?」
すると神々しささえ感じる獣達の目の色が変わった。
「滅相もない!!我らは大煌帝国のため、帝国民のために働いていたのです!裏切ったのはむしろ…」
その後の言葉はぐっと飲み込んだ。しかし目の前にいるのは帝国一の武将…遅かったかもしれない。
「そうか…」
奨はそう呟くと武器を置いて、地面に土下座をした。
「大将、何を…!!」
奨の後ろに控えていた、生き残った部下達が、奨の突然の行動に慌てていた。
「申し訳ないことをした。皇帝ほどの価値はない上に、帝国のために必死で働いた者達を裏切った行為は許されるものではない…だが、血筋の者として、謝らせてほしい」
奨は、気にせず目の前の、黄金色の者達に謝罪した。
「御身はそのようなことをする立場ではありませぬ!」
「第一、この者達が真実を申しているとは限りません!それに帝国が裏切ったなどと、不忠にも程があります!」
部下達は口々に言った。だが、奨は聞かなかった。
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