最後の晩餐

　もし明日、地球が滅亡するとしたら、最後の晩餐にはなにを食べたいか。

　誰しも一度は聞かれたことのある質問だろう。ぼくも何度か聞かれたし、誰かが話しているのを耳にしたこともある。まったく幸せな質問だ。そしてバカげている。

　だってそうだろう？

　もし、なんらかの理由で地球がそろそろヤバそうだ、大体○月○日が地球のラストデーですと、ニュースキャスターが真面目くさった顔で原稿を読みあげようものなら、いくら勤勉な日本人だって働くことを放棄する。

　交通機関は麻痺し、商店街にはシャッターがおり、コンビニエンスストアは煌々と灯していたあかりを消す。

　つまりだ。

　最後の晩餐に外食は選べない。自分で作るにしても、だ。ラストデーまでにしっかりと材料を揃えておかなければ、自分の食べたいものは食べられないし、どうせ死ぬのにわざわざ料理をして食べたところでなにになるというのだ。