最後の晩餐

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 食べたところで、それは栄養にならないうちに身体の機能が停止してしまうかもしれないし、まあ、せいぜい空腹を満たすためだけにカロリーメイトを齧るくらいが、本当の最後の晩餐ではないだろうかと、ぼくは思うわけで。  現に今、世界は時を止めてしまっている。  つい一週間前ほどにお堅いニュースキャスターが告げたのだ。そろそろ世界が終わるのだと。巨大な隕石がものすごいスピードで地球に接近してきていて、それはもう避けようがないのだと。  だから、もうテレビをつけてもニュースは流れない。電車もバスも動いていないし、タクシーだって走っていない。みんな自由になったのだ。生きることから解放され、死へのカウントダウンをはじめている。外は連日バカ騒ぎだ。  普通、こういう時、大抵の人は家族と過ごすのだろう。でも、ぼくはそれもバカらしいと思っている。だって、地球が終わることと、家族と過ごすことはイコールではないだろう? やりたいことをすべきだ。  そう。  ぼくにはやらねばならないことがある。
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