最後の晩餐

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 闇に紛れ身を潜める。アイツの住む団地住宅。大抵の人間は部屋に閉じこもって外にはでてこない。若者は連日街に繰り出してバカ騒ぎをしているけれど。  アイツが外に出てきた理由は電話ではなかった。人気のない駐車場でタバコを吸っている。なるほど。一旦はやめたタバコが復活したというわけか。いいだろう。最後の一服だ。ぞんぶんに吸うがいいさ。  お前がタバコの火を消したなら、ぼくは背後から近付いて、お前の頸動脈をかき切る。そして、お前を車のトランクにつめ、ある場所へと連れていく。  そこで、お前は消えるのだ。  永遠に──。
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