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夏祭り
今から十年前。
尚弥が六歳の頃。夏休みに母方の祖父母の家に帰省した時の事。近くの神社の夏祭りに、両親と尚弥、従兄弟に祖母で来ていた。
祖母に黄色の浴衣を着せてもらい、当時は肩まで髪が長かったため、顔立ちからして女の子と間違えられることが多かった。
射的に輪投げなど従兄弟と楽しみ、大好きなりんご飴を買ってもらった。宝釣りの屋台を見つけ景品のオモチャに釘付けになってしまい、いつの間にかみんなと逸れてしまった。
「ぐずっ……みんなどこ…?」
辺りを見回しても見当たらない。
どうしていいか分からずりんご飴を握りしめて泣いていた時だった。
「どうしたの?大丈夫?」
青色の浴衣を着て金髪で青い瞳の絵本の中から出てきた王子様みたいに綺麗な男の子だった?
尚弥はあまりにも綺麗な男の子に涙が止まっていた。
「お父さんやお母さんは?」
男の子の問いかけにまた尚弥は不安になって来る。
また泣きそうになる尚弥に男の子はギュッと尚弥の手を握る。
「大丈夫。一緒に探そう?」
安心させるように微笑む。
手を繋ぎながら歩き出す二人。
しばらく歩いていると慌てて探している両親と無事再会出来た。もちろん、勝手に居なくなったことを怒られた。
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