夏休み

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夏休み

 花音と潤が一緒に登校してくると、机に突っ伏して寝ている尚弥の姿が目に入る。 「珍しいー尚弥君が遅刻せずに登校してるなんて」 「どうしたんです?」  潤が尚弥の前の席に座るルイに問いかける。  ルイは苦笑いを浮かべ、尚弥の頭を突く。 「なんか、一睡も出来なくて寝不足らしいよ」 「尚、そろそろ起きないと。ホームルーム始まるぞ」  ルイが尚弥の肩を揺すって、起こそうとするが起きる気配がない。 「仕方ないですね。じゃここは僕が起こしましょう」  そう言って潤が尚弥に近づき、そっと耳元で囁く。 「尚弥が行きたいって言ってたバンドのチケット手に入りましたよ!」  聞いた瞬間、尚弥が飛び起きる。  余りの勢いに反応が遅れた潤は尚弥の頭突きを思いっきり食らってしまった。 「 っつー!ちょ尚弥!」 「わ…悪い、潤。ご…ごめん」  流石の尚弥も謝る。潤を怒らせるとタチが悪いし、あとが怖い。  潤からチケットを貰った尚弥は目を輝かせる。  テンションの上がった尚弥の寝不足は吹っ飛んだらしい。  その様子をルイは優しい眼差しで見ていた。  午前の授業が終わり四人は昼食を取るため、食堂に来ていた。今日は天気も良いのでテラス席に陣取っていた。 「みんなは夏休みどこか行く予定ある?」    花音が唐突に切り出す。 「僕は予定ないです!」  潤が張り切って答える。   潤は花音に好意を抱いていた。分かりやすくアピールしているつもりだが、花音には伝わっていなかった。ルイがくすくす笑う。そんなルイを尚弥と花音は不思議そうに見つめた。  自分に視線が集まっていることに気づき、ルイは笑うのをやめた。
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