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旅行当日。
四人は旅館のある◯◯市の駅で降り、車で迎えに来る叔母を待っていた。
自然豊かな場所で真夏だと言うのに風が涼しく都会と違い空気も綺麗だ。
「あ!来たよ!」
車から綺麗な40代の女性が降り、花音に気づき手を振る。
「久しぶり~花音ちゃん」
「叔母さん、久しぶりー」
一年振りの再開を二人とも喜んだ。
「ルイ君に尚弥君に潤君。小学生の頃からの幼馴染だよ。で、美鈴叔母さんだよ」
「美鈴です。今日はわざわざ来てくれてありがとう」
ニコリと笑い美鈴が挨拶する。
とても優しそうな人だった。花音の母親のお姉さんで花音とも雰囲気が似ている。
美鈴の運転で旅館に向かう。
山道を登り周りには建物もなく、緑に囲まれた隠れ屋みたいな旅館だった。宿泊客も4組だけの小さい旅館だがなかなかの人気で予約は先まで埋まっている。
車から美鈴が調達した大量の食材を旅館の調理場に運び込む。叔母夫婦二人で営んでいるため、叔父の正明が腰を痛めてしまい、美鈴だけで運搬するのは大変だった。そこで、花音に今回お願いしてきたわけだ。
「ありがとう。私一人じゃ大変だったから助かったわ」
運搬が終わり、美鈴に部屋に案内される。
20畳ほどの畳の部屋。荷物を置き、窓から外の景色を眺める。小さな滝が見え、鳥の鳴き声、自然豊かな音色に心が癒される。
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