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頑張って寝ようとしたが目が冴えてしまった尚弥は仕方なく布団から出て、窓際の椅子に座って外を眺める。周りに明かりがないせいか、星空が綺麗だ。
「眠れないのか?」
夢中で星空を見ていたため、ルイの問いかけにビクッとする。
「なんか目が冴えちゃってさ」
「ふーん」と言い、ルイも尚弥の隣に座る。
「綺麗だな」
「うん」
尚弥はルイの顔を見つめる。
「どうした?」
「ん…。あのさ、えっと……聞いてもいいか?」
「何を?」
「ルイの初恋の人の事」
尚弥が意を決して聞くと、いつもポーカーフェイスのルイが目を見張る。
「尚、興味無さそうだったじゃん」
「いいだろ!教えろよ!」
むくれる尚弥の頬をニヤニヤしながら突く。
「尚、本当に覚えてない?お姫様の事」
「俺の知ってる人なのか…?」
尚弥は過去の記憶を思い返すがそんな女の子いたっけ?と首を傾げる。
ウンウン唸りながら考え込む尚弥にルイはクスクス笑っている。
「黄色の浴衣を着て、黒髪の綺麗な子。夏祭りでりんご飴持ちながら迷子で泣いてたんだ」
ルイの言葉にスッと何か思い出しかける。
(夏休み……りんご飴……迷子……)
「えっ!それって……まさか」
記憶が蘇る。
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