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次の日、学園では二人の婚約話で大騒ぎだった。
「まさかあの残念姫が本当に婚約するなんて!」
登校してきたアンジェリカはクラスメイトにわっと囲まれてしまった。何を言われるのかと少し身構えたアンジェリカだったが、意外にも祝福の言葉が多かった。
「おめでとう、アンジェリカ。良かったわね」
クリスティンですらお祝いの言葉をくれた。
「まあ、ヴィンセント殿下の好みにたまたま合ってたってことだから。本当に良かったわよ」
「ありがとう、クリスティン」
ウォルターはこの日も休みだった。
「ショックで出て来られないのかもなあ」
などと、男子たちは噂をしていた。
ヴィンセントは、今日は学園を休むとアンジェリカは聞いていた。国の用事があって王宮を訪れるのだそうだ。
ずっとリアを護衛に置いてくれているので、アンジェリカは安心して過ごすことが出来ている。
(明日の誕生日は一緒に過ごそうって言って下さった。こんなに誕生日が待ち遠しかったことはないわ)
その日の夜、アンジェリカは念入りに顔の手入れをした。いつも通りの顔だけどツヤが増した気がする。婚約したばかりの幸せな乙女はすぐに安らかな眠りに落ちていった。
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