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白い魔法使い
※※※
ーー時を遡ってアンジェリカの誕生日前日ーー
アンジェリカと婚約を交わした翌日、学園を休んだヴィンセントはゼインと共に王宮を訪ねていた。
「ヴィンセント! どうしたんだ? いったい」
国王に呼ばれて謁見の間に駆けつけたウィリアムは、重臣たちの目の前にヴィンセントがいることに驚いていた。
国王が口を開き、彼に告げた。
「ウィリアム。お前にも王太子として知っておいてもらわねばならんから呼んだのだ」
「何をですか?」
「『白い魔法使い』の存在だ」
「『白い魔法使い』?」
「そうだ。この世には、未だ魔法というものは存在している。数は少なくなったが魔法の絡む事件というのは時々起こるのだ。そして、それは魔法使いによってしか解決出来ない」
ウィリアムは信じられないという表情で聞いていた。
「わしも、これまでの治世の中で魔法に出会ったことは無い。だが、魔法による事件が起こった時はアステリアの『白い魔法使い』に相談せよと、わしも父から教わっていた。各国のトップにも、そのことは共有されている。だからこそ、アステリアは重要な国としてどの国からも尊重されているのだ」
「では父上、もしや今、魔法の絡む事件が起こっているという事ですか?」
国王は頷いた。
「後はこの『白い魔法使い』ゼイン殿が話してくれるだろう」
ゼインが進み出て話し始めた。
「ウィリアム王太子殿下、私がゼインでございます。私の齢は一千年を超え、その間ずっとアステリアの王族と共に歩んで参りました。なぜなら、彼らは私の子孫だからです」
ヴィンセントも頷きながら聞いていた。
「ですから、ヴィンセント殿下にも魔法の気配を感じる能力があります。そのため、学園で気配を感じた殿下に呼ばれて、私が参ったのです」
「学園で?」
「ああ、そうだ。僕は先週、ある人物から魔法の気配を感じ取った。それでゼインに調べてもらうために呼んだんだよ」
「恐ろしいことだな……! それはいったい誰なんだ?」
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